作家の考える最後のとき

オカヤイヅミ『おあとがよろしいようで

死ぬ前に何を食べたいか?というテーマでの、人気作家15人へのインタビュー。それをそのまま漫画にしたという作品だ。括りはコミックエッセイということで良いのだろうか。ちょっと変わったスタイルだ。

想像される「死に方」もそれぞれ異なる。

私はこの漫画で初めて知った作家も多かったのだが、そういう人へのインタビューも、意外と興味深く思えた。
例えば、加藤千恵は「アイス」を選んだ理由をこんなふうに語っている。

できるだけ死ぬ前はくだらない話をしたいですよね…(略)…アイスって深刻な話とかできなそうだし(pp.96-97)
「どんな時間を過ごしたいか?」という問いが先にあり、「食べたいもの」はあくまでもそれを叶えるための手段。想像力の働かせ方が違うんだなあ、と感じ入る。

しかし、面白いと感じられるのはやはり言葉の部分がほとんど。これをあえて漫画にする意味は? と、少々疑問を抱いてしまう。
写真と比べてみても、作家さんの顔はかなり似ている。しかしそれだけに、「似顔絵がコマに納まっている」みたいな印象を受けてしまう。基本的に淡々と食事をしながら話しているだけなので、動きも、表情の変化もあまりないのだ。同じ向き、同じ表情の顔が1ページに3コマくらい並んでいたりするのは、ちょっと「う~ん……」となってしまう。
じゃあ表情豊かでオーバーリアクションなら良いのか?と言えば、そうでもない。そうなったら、「作家たちが話している」というリアルな雰囲気は失われてしまうだろう。

結論として、文章で読んだ方が楽しいのではないかと思った。もちろん好みの問題もあるのだろうけれど。

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