すべては彼女の掌の中。

山本甲士『ひかりの魔女



ばあちゃんがひたすら凄い。強い。ラノベでよくある「なろう系」に近いものがあるんじゃなかろうか。第三者視点という違いはあるけれど。全てばあちゃんの思い通りになっているようで、何だか釈然としない感じが残った。
ばあちゃんを取り巻く人々とばあちゃん本人との間に、埋めがたい温度差を感じる。それが空寒い。皆「ばあちゃんに人生を救ってもらった」くらいに思ってるのに、ばあちゃん本人にとってはすべて皆有象無象のひとつに過ぎないように感じられる。それでも皆幸せなのだから良いじゃない、ということかもしれないけれど。
ブクログなどを見ると前向きな感想ばかりだし、そこに抵抗を感じるのは私がひねくれ者だからなのかもしれない。そうだとしてもやっぱり、好きにはなれない。

他に見どころを挙げるとすれば、前半に頻出する主人公の妄想。家にやって来るばあちゃんについて繰り広げる不穏な妄想がちょっと楽しい。

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