着々と近づいてくるSFの世界。

囲碁や将棋で人間に勝利するAI、ロボットアドバイザー、空飛ぶ車……等々。最近、新聞を読んでいて「SFの世界か!?」と思うようなことが増えてきた。

そして今日、日本経済新聞のある記事を読んで思い出した小説があったので、記事と合わせて紹介しようと思う。

技術が「誰にも継がれず消滅する」ということをなくせるかもしれない?

キリンビールや味の素が食品生産に人工知能(AI)を導入する。…(略)…熟練職人の技に頼ることが大きかった醸造や発酵の工程をAIで代替させる。(「職人技AIで代替」『日本経済新聞』2017年8月17日) 
 新製品の開発期間短縮、若手の効率的な育成、技術伝承の効率化などが望めるとのこと。他の企業でも続々とAIが導入されているのだそうだ。
職人技という人間の技術の極地のようなところにも、AIは着々と迫ってきているらしい。技の全てを本当に再現できるようになったら、それは良いことなのだろうなあ……とは思う。後継者不足で技術が衰えるということは、食品分野に限らず色々なところで発生する問題だろう。その解決策になりそうだ。

前向きなニュースと捉える一方、実はこのニュースを知って真っ先に思い出したのは『PSYCO-PASS ASYRUM 1』だった。近未来SFアニメ、『PSYCO-PASS』のスピンオフ小説だ。

アニメ本編で主に描かれるのは、犯罪を犯しかねない精神状態になった者が「潜在犯」として隔離されるというディストピア。本編ではその「精神を裁くシステム」が主題となり、他の技術についてはあまり言及されない。それを補うような形で、このスピンオフではその世界の他の側面が描かれる。
そこで言及される技術のひとつが、「プロの料理人の技術を再現する機械」だ。それがどのように「活用」されるのかに触れると若干ネタバレになるので避けるが、機械を扱う人間の問題が描かれている。
先に挙げたニュースは発酵・熟成の技術についてとのことだったので、そのものが登場するわけではない。しかし、「その世界に手が届く場所まで来ている」と感じさせられた。

なお、アニメ版の方にも当然、様々なSF技術が登場する。ちなみに私は「ドローン」という単語を『PSYCO-PASS』を通して知った。(放送当時は今ほど一般的ではなかった。)

そんな中でもこの頃よく思い出されるのが、自動運転の描写だ。
「事件が発生、現場に急行する」というときに、自動運転を切って人間がハンドルを握る、という場面が何度か登場する。AIの運転はあくまでルール順守で、交通ルールを無視しするような手荒い運転は人間の領分……ということなのだろう。

そのように、技術の発達した未来のひとつの可能性が示されるこの作品。「ああ、あり得そう」と思わされる。現実もそうなるかもしれない、と。
着々とSFが実現されて来ている今こそ、観る価値があるアニメ、読む価値がある小説なのではないかと思う。

ただし全体的に胸糞悪い……もといショッキングな内容なので、その点は心して読む(あるいは観る)ことをお薦めする。


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